暴力は肉体的なものだけを言うのではない

「セクハラ」という言葉がある。俗に女性を性的なものと見る女性差別的な意識に基づくものである言われる言葉であるが、男性が女性から受けると言う事も、事実あるわけだ。「性的嫌がらせ」がセクハラの意であると完全に規定するのであれば、まぁ当然そこに男女の格差があること自体がおかしい。というよりも「ハラスメント」というものに対し、本来性別も年齢も何もかも関係がない。あるのは立場と視点だ。ある人物にたいし何人かの人間が執拗に恋人の有無を尋ねるのも、言ってみればセクハラに該当する可能性だってある。何せ受けた人間の感性がものを言う世界であるから、当然である。それが苦痛であれば成立する。と言うことは、男性でも女性でも関係がないであろう。そして、それは当然ながら同性に対しても該当する。ハラスメントのほかのものといえば、アルコールハラスメントやアカデミックハラスメント、キャンパスハラスメント、スクールハラスメント、スモークハラスメント、ドクターハラスメントパワーハラスメント などなど、要はひっくるめて言えばモラルハラスメントだ。外傷が残らない言葉や態度による精神的な暴力である。組織内のいじめもその一部といえる。
さて、訴訟騒ぎの多い昨今、本当に傷付いている人と、金を請求しようとしているだけの輩の判断が一目には分からない。何故なら、これらは相手の精神的苦痛こそが根幹にある話であるからである。ある意味において、訴訟という仰天するような暴力が公然となされる可能性すらあるわけである。とは言え、法律的に語るならやはりセクハラは女性労働者の権利でしかない。男女雇用機会均等法21条に記載されているのは、女性従業員に対しての事だけであるから当然か。